Menu | メニュー
ARCHIVE | アーカイブ
THEMA | テーマ

看護師から起業家へ「訪問看護St.ひまわりの舞台裏」

【初稿】看護師から起業家へ「訪問看護ステーションひまわりの舞台裏」アイキャッチ画像
看護師から起業家へ

看護師としての道を歩み始めてから数十年。今では「訪問看護ステーションひまわり」を始め、複数の事業所を運営する起業家として、新たなステージでの挑戦を続けています。今回は、看護師から起業家への道のり、その過程での学び、そして私が最初に立ち上げた「訪問看護ステーションひまわり」までの道のりを、これから起業を考えている看護師や訪問看護に関心がある方々に向けて、心からのメッセージをお伝えします。

Table of Contents | もくじ

「訪問看護との出逢いと試練の日々」

私の人生は、幼少期の入院体験から始まります。小学校1年生の時、血液疾患で岐阜県総合医療センターに3ヶ月間入院し、その後、同病院への就職を果たします。中学、高校時代は建築への興味があったものの、勉強に集中できず、大学受験には苦戦を強いられました。流行ドラマ「ヒーロー」に触発され法学部を目指すも、再び挫折。最終的に看護学校への道を選択しましたが、専門学校での3年間もやる気は湧かず、国家資格取得という現実的な目標にのみ焦点を当てていました。

恩師との出会いと再就職

初めての就職は厳しさのあまり途中で断念。しかし、岐阜県総合医療センターの看護部長(かつての学校の校長)からの厳しくも愛情ある説得により、恩師が働く総合医療センターで再就職の道を歩むことに。小児科への配属は試練の連続でしたが、専門学校の先生でもあった師長の指導と成人病棟への異動提案が転機となり、看護師としての職務に対する情熱が芽生え始めました。

訪問看護との出逢いと試練の日々

私が訪問看護に本気で取り組むことを決心したのは、キャリアの終盤になってからでした。それまでは、「いつか機会があれば挑戦したい」という軽い気持ちでいたように思います。大病院では、救急や重症患者を扱う部署が敬遠されがちですが、私が勤めていた総合医療センターも例外ではありませんでした。私も7年目になると、ついに異動の時が来たと思いました。異動先は「怖い場所」として知られていましたが、私はその時点で「いずれ訪問看護で起業に挑戦するには、あらゆる経験から学ぶ必要がある」という心構えを持っていたので覚悟を決めトライ。

もし、ゆっくりと話している患者さんが急に容態が悪化したら、何もできないのは悲しいことです。真に患者さんと向き合うためには、好き嫌いを言っている場合ではないと気づきました。

「自信の芽生えと起業への決断」

15年の献身と部署を超えた経験

看護師として15年間、いくつもの部署での勤務は、多様な経験を積み、自信を育てる貴重な時間でした。病院内のさまざまな環境での勤務は、私に幅広い視点と深い理解を与え、看護師としての自身の能力を信じるようになりました。この貴重な経験が、後に訪問看護への情熱を形成し、起業への決断へと繋がります。

起業への強い決意と訪問看護ステーションひまわりの誕生

ある日、後輩からの起業家セミナーで、とある訪問看護の社長に出会ったことが起業への大きな決断のポイントでした。彼は同い年の同じ看護師、だけど自分のビジョンがしっかりしており自信をもって演説する姿に、尊敬と共に自分の無力さを痛感し、私もいつかしっかりとしたビジョンをもった看護師になりたいと。その後の内に燃える起業への情熱は、様々な困難を乗り越えて、訪問看護ステーションひまわりの設立へと結実しました。

実は、昔から訪看をやりたいと一緒に話していた後輩が、現在うちで働くスタッフなんです。私が 訪問看護で起業するために「病院を辞める」ことを昼休みの喫煙所で後輩に話したところ、なんの躊躇もなく「やるならオレも行く」と秒で返事をしてくれました。その心意気に感動した記憶は今でも鮮明に残っています。

そこからは一気にことは進み、後輩は訪問看護研修へ。私は行政とのやりとりと役割を分担。新スタッフも、看護師が追加で2名、理学療法士が2名、事務が2名、とオープニングのメンバーが決定。

同じビジョンを共有する仲間たちの存在は、この道のりを一人で歩んでいるわけではないという強い確信を私に与えてくれました。仲間たちの支えがあったからこそ、私は前進し続けることができ、ついに訪問看護ステーションひまわりを開業する日を迎えることができました。

「開業日と最初の依頼」

私たちが看護師として活動できるようになったのは、人材、物資、資金が整った時でした。同時に、自分の能力が地域医療に適しているかどうかに不安を感じながらも、決して負けないという強い意志を持っていました。

開業当初は、計画性を考える余裕がなく、ただ依頼に全力で応えようという気持ちだけでした。新芽が太陽の光を一心に受けるように、私たちは周りからの知識と経験を積極的に取り込む姿勢でいました。

営業活動では、近隣の市役所から事業所のリストをもらい、チーム全員で分担して訪問していました。経験がないため、初めはただ挨拶を交わすだけでしたが、次第に「とにかく一回だけ使ってください」という言葉で訴えるようになりました。

最初の依頼は開業から約1週間で来ました。受けたのは事務員でしたが、その瞬間、チーム全員が興奮しました。「誰が行く?」「忘れ物はない?」などと話し合った結果、結局全員で訪問しました。

初回訪問が終わった後、一瞬の緊張の解放を感じ、計画書などの書類作成に取り組みました。作業が終わり、夜中に帰路につく車の中で、ほっと安堵した気持ちから涙がこぼれました。その後、気持ちを切り替え、「月に3件がノルマだから、あと2件」と自分に言い聞かせ、良い夢を見ることを願いながらすぐに眠りにつきました。

初めての依頼は、私たちのサービスが地域社会に受け入れられ始めた証であり、私たちの使命が正しくスタートした証でもありました。

「私らしい看護の提供」

私は自分自身を本質的に弱い人間だと考えています。これまで特に何かを努力して成し遂げた経験がなく、すぐに諦めるタイプでした。しかし、周りの人々の優しさに支えられて、何とかまともな人生を送ることができていると思います。

看護師として働く私は、一般的な看護師のイメージとは異なり、自分らしさを大切にしています。金髪パーマに香水といった個性的な外見をしていますが、仕事に対する姿勢は真剣です。私は人の人生に深く関わる仕事をしているため、単なる「社畜」になることを拒否しています。この外見であっても、患者さんやその家族への対応は非常に丁寧で、多くの人から評価されています。外見だけで判断されがちですが、私の看護に対する熱意は本物です。

もちろん、外見が原因で注意されることもありますが、それを乗り越えて、私は患者さんやその家族に寄り添うことを大切にしています。例えば、ICUで亡くなった患者さんのご家族が、私の個性的な外見について最初は疑問に思っていたものの、最終的には私の看護に深い感謝を示してくれたことがあります。そのような経験は、私にとって非常に大切で、自分の役割を再認識させてくれます。

私たちの職業では、自己実現と他者への貢献を調和させることが重要です。マズローの階層で言う自己実現の上位には、他者への貢献があると私は考えています。これは、看護師や医療・介護職にとって不可欠な資質だと信じています。

私が経営する「株式会社like ONE self」の「自分らしさ」を大切にする理念とも、この考えは深く共鳴します。自分を尊重しつつ、他者への細やかな配慮と尊重を忘れないこと。それを実践しながら、看護の現場で日々を過ごしています。

利用者さんや家族に寄り添い、私らしい看護を提供すること。それが、私が目指す看護の真髄です。

「成功の定義」

訪問看護の仕事に情熱を注いできましたが、それだけが理由ではありません。これは生計を立てる手段でもあります。チームワークが大切だとはいえ、訪問看護では個々の力が非常に重要です。患者の家を訪れた時、そこには誰も助けてくれる人はいません。しかし、それには利点もあります。成功すれば、その成果は全て自分のものになります。看護師としての自分が際立ち、「〇〇病院の看護師さん」ではなく、「廣瀬さん」として認識されるようになります。私は、プロフェッショナルとは、単にお金をもらってサービスを提供するのではなく、「この人にならお金を払いたい」と思わせることだと考えています。

私の目指すのは、そのレベルの看護師になり、そういう看護師で構成される会社を作ることです。私たちの会社が訪問看護の代名詞になり、「看護師といえばひまわりのスタッフ」と言われるようになることが、私にとっての大成功です。

しかし、私の目標は個人の成功にとどまりません。子どもが将来看護師になりたいと言ったことがありますが、看護師の離職率が高く、心身を痛めるような職場ではあってはならないと感じています。看護師としての地位そのものを向上させることが必要だと考えています。看護師になることは普通のことかもしれませんが、それを続けるには強い想いが必要です。そして、その想いを支えるには適切な報酬や働き方が不可欠です。私は、先人たちが築き上げた看護師としての地位に感謝し、それを次世代に「恩送り」することで、自分の人生を成功と呼べると思っています。

訪問看護ステーションひまわりの未来像

訪問看護ステーションひまわりは、社会の変化に合わせて、より多くの人々のサポートに貢献することを目指しています。私たちは、訪問看護の分野で革新を続け、常に進化することを心掛けています。 私の目標は、訪問看護のサービスを拡大し、より多くの人に高品質のケアを届けることです。これを達成するために、看護師としての技術を高め、地域との連携を深め、個々の利用者に合った最良のケアを提供することが重要です。 私は、「訪問看護ステーションひまわり」がただの名称ではなく、高品質な看護ケアの象徴となることを夢見ています。

読者へのメッセージ「訪問看護を目指す人へのエール」

私は自分に経営の才能がないと思っています。外見や財産に恵まれたわけでもありません。できることと言えば、看護師としての仕事だけです。それに全力を尽くしました。言い換えれば、それ以外のことでは自分をあまり価値がないと感じています。周りからもそう言われてしまうことがあります。

しかし、敢えて誤解を覚悟で述べれば、訪問看護の分野では、看護師として全力を尽くすことだけで十分なのです。目の前の人々のために一生懸命になることができれば、それで生計を立てることができ、スタッフに給料を払うこともできます。

これは良いことでもあり、難しいことでもありますが、私たちの業界はまだまだ努力次第で乗り越えられると感じています。だからこそ、若くても自信がなくても、情熱を持っている看護師の方々に、この業界に挑戦してほしいと思っています。情熱があれば、多くのことを成し遂げることができるのです。

今回のメッセージが、あなたの起業への触発となり、そこから生まれる行動が看護業界に新しい価値を加え、看護の未来を形成するのに貢献することを願っています。新たな道を歩み始めるこの時に、私の経験が成功への道しるべとなれば幸いです。

【初稿】看護師から起業家へ「訪問看護ステーションひまわりの舞台裏」アイキャッチ画像

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

カルテ・レセコンならカイポケ!!とても安く使えます!!

Table of Contents | もくじ